2019年4月1日月曜日

トランプ大統領の心変わりで「希望拷問」を受ける文大統領 

北朝鮮が米朝会談を『核を廃棄する用意がある』といって要請した
ことは本当だろう。
だけど、韓国の特使が韓国や米国に報告した事が事実でない。
そこには北朝鮮の謀略・策略があることは見抜けなかった。
韓国には北朝鮮に核があろうと、なかろうとどうでもいいこと、
半島が平和で、統一され、さらに、核保有国ならば日本はおろか
東アジアで物言える国となれると妄想したにちがいない。
しかし世界に多くの国があるが、身体的拷問の数の多さは世界でも
トップクラスの朝鮮半島が精神的拷問には想像さえしなかったろう。



【コラム】トランプ大統領の心変わりで「希望拷問」を
     受ける文大統領 2019年3月31日 5時6分 朝鮮日報

韓国と米国の対立が深刻という報道が一気に増えた昨年の末ごろ、
韓国大統領府報道官は「韓米の協力関係は最高の状態にあるので、
心配には及ばない」と説明していた。しかし
メディアが懸念する韓米対立も間違いではなかったし、またそれに
反論し韓米の協力関係に問題ないと主張する大統領府の言葉も
間違ってはいなかった。
その理由は対北朝鮮政策において二つの米国があり、韓国メディアと
大統領府はそれぞれ異なった米国を念頭に置いていたからだ。

韓国政府と対立していた米国を「米国A」としよう。
この米国Aとは米国の議会、北朝鮮問題の専門家、メディア、そして
国務省で実務を担当する官僚たちのことだ。これに対して
韓国大統領府と協力するという「米国B」はトランプ大統領、そして
ポンペオ国務長官をはじめとする側近たちだ。
韓国統一研究院の院長を務めた金泰宇(キム・テウ)氏は
「米国A」について「米国の役割と同盟を重視する考えを持つ」として「本流米国」と呼んだ。
本流米国は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の
「非核化の意志」を最初から疑ってかかり、トランプ大統領による
北朝鮮との交渉のやり方も不信の目で見ていた。



トランプ大統領の対北朝鮮政策も就任当初はこの「本流米国」の
やり方だった。
それが変わったきっかけは昨年3月8日、韓国大統領府の
鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長を通じて伝えられた
金正恩氏の「米朝首脳会談の提案」だった。
トランプ大統領の逸脱が始まった瞬間だ。
北朝鮮の核問題に詳しい専門家たちは
「鄭室長は金正恩氏の非核化の意志を誇張して伝えた」などと
指摘している。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「本流米国」から離脱した
トランプ大統領を強く後押しし、称賛した。
文大統領は昨年4月の南北首脳会談直後、自らのノーベル平和賞受賞について質問されると「ノーベル平和賞はトランプ大統領が
受けるべきで、われわれは平和さえあればよい」と述べた。
この発言は直ちに太平洋を越えワシントンに伝えられた。
ホワイトハウスの担当記者たちがトランプ大統領に
「ノーベル平和賞を受ける資格があると思うか」と質問したところ、
トランプ大統領は「そのような話題があるのは知っているが、私は
それを口にしたことはない」と気分良さそうに語っていた。

文大統領によるトランプ大統領への称賛が頂点に達したのは
昨年5月22日、ホワイトハウスで行われた首脳会談だった。
文大統領は「トランプ大統領の強力なビジョンとリーダーシップの
おかげで、韓半島(朝鮮半島)では完全な非核化と世界平和という
夢が一気に近づいた」
「トランプ大統領だからこそ、過去数十年にわたり誰も
できなかったことができると確信する」と述べた。
米国のオンライン・メディア・クォーツは
「文大統領はお世辞でトランプ大統領を操っている」という見出しの
記事で会談の様子を伝えた。



2回目の米朝首脳会談が何の合意もなく決裂したのは、
トランプ大統領が本流米国に再び戻ったからだ。
トランプ大統領の考えの変化は米国で与野党の双方から歓迎されたが、文在寅政権にとっては衝撃的なニュースだった。
米国に戻る専用機の中からトランプ大統領は文大統領に
電話をかけたが、その時の文大統領の様子が新聞各紙に
掲載されている。
その表情は明らかに落胆していた。
「完全な非核化が実現する前に制裁の緩和はない」という考えで
米国全体が再び一つとなった影響で、
「韓米間に立場の違いはない」と訴えてきた韓国大統領府の説明も
完全に説得力を失ったのだ。


今年2月に韓国ギャラップが行った世論調査によると、
文在寅政権の経済政策と雇用・労働政策について「支持しない」が
それぞれ61%と59%を占め、「支持する」の23%と26%を2倍以上も
大きく上回った。
文在寅政権の政策で「支持する」が過半数を占めているのは
「対北朝鮮政策」と「外交政策」しかなく、今やこの二つが政権の
支持率を何とか支えているのが実情だ。しかし
米国における従来の外交・安全保障政策に復帰したトランプ大統領が
今後も北朝鮮制裁を続ければ、文大統領が掲げる
「韓半島平和プロセス」は完全に漂流し、政権運営全体が完全に
破綻してしまうだろう。



先週末にはトランプ大統領がツイッターを通じ
「北朝鮮に対する追加制裁の撤回を指示した」と伝えると、
韓国大統領府は「希望の光が再び見え始めた」と歓迎した。
韓国大統領府はおそらく
「トランプ大統領が再び本流米国から離脱し、
金剛山観光や開城工業団地の再開を後押しすると言って
くれないだろうか」

「南北関係さえうまくいけば国民生活のための政策などどうでも
 いいのだが」などと一瞬考えたはずだ。

絶望的な状況でありながら、それでも完全に放棄できないよう
わずかな希望を持たせ、いつまでも悩ませることを
「希望拷問」という。
文在寅政権が置かれた今の状況がまさにそうだ。かつて北朝鮮の
金正日(キム・ジョンイル)総書記を敵対視していた
ブッシュ大統領の強硬右派路線に対し、盧武鉉(ノ・ムヒョン)
大統領はとっくみ合いのけんか直前まで行った。
盧元大統領の路線を継承する文大統領は、米国の右派からさほど気に
入られていないはずのトランプ大統領を称賛し、協力を
進めようとしたが、トランプ大統領の心変わりに不意打ちを受け、
今や希望拷問に苦しめられている。
喜劇というべきか悲劇というべきか分からない歴史の皮肉だ。

金昌均(キム・チャンギュン)論説主幹

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