そう、一切通用しない。この地球上に人類が存在するかぎり、争いは絶えない。
怪物を育てた温床 9月25日 2014.9.25 05:06
ほとんどの日本人にとって、アラブは遠い存在である。
曽野綾子さんによれば、簡単にしかもできるだけ深く知るには、彼らの世界の格言が役立つという(『アラブの格言』新潮新書)。
▼米軍は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の空爆作戦を、イラクから
シリアへ拡大した。それに中東5カ国が参加した理由も、格言で説明できる。
〈あなたが必要としている限り、キリスト教徒に親切にしなさい。しかし
そうでなければ、やつらの頭の上に壁をひき倒せ〉(レバノン)。
▼サウジアラビアやヨルダンなどスンニ派国家は、国内の過激派の動向に神経を
とがらせている。
「イスラム国」は、彼らを鼓舞して、君主制さえ危うくする存在だ。
組織壊滅のために米軍と協力するのは、当然の選択だった。
▼〈もしも本当に敵を悩ませたいと思うなら、何も言わずに彼を一人にしておけ〉
(アラブ)。
これまで何度も、アラブ世界の反発を招いてきた米国も、格言に学んだのかも
しれない。
イスラム教徒との共闘姿勢を強調して、イスラム国を孤立させようとしている。
▼ただ、空爆の効果については、専門家の多くは懐疑的だという。もともと、
オバマ政権は1年前、化学兵器を使用したシリアのアサド政権への空爆を
先送りした経緯がある。今回の軍事行動が成功したとして、
イスラム国と敵対するアサド政権が利益を得るというジレンマも抱えている。
▼そもそも、今日の危機を招いたのは、
2011年末のイラクからの米軍撤退である。「力の空白」が、怪物のような
過激派組織を育てる温床となった。
「軍隊がなくなれば、戦争がなくなる」。今も一部の
日本人が信じる「平和思想」は、アラブで、いや世界で一切通用しない。
怪物を育てた温床 9月25日 2014.9.25 05:06
ほとんどの日本人にとって、アラブは遠い存在である。
曽野綾子さんによれば、簡単にしかもできるだけ深く知るには、彼らの世界の格言が役立つという(『アラブの格言』新潮新書)。
▼米軍は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の空爆作戦を、イラクから
シリアへ拡大した。それに中東5カ国が参加した理由も、格言で説明できる。
〈あなたが必要としている限り、キリスト教徒に親切にしなさい。しかし
そうでなければ、やつらの頭の上に壁をひき倒せ〉(レバノン)。
▼サウジアラビアやヨルダンなどスンニ派国家は、国内の過激派の動向に神経を
とがらせている。
「イスラム国」は、彼らを鼓舞して、君主制さえ危うくする存在だ。
組織壊滅のために米軍と協力するのは、当然の選択だった。
▼〈もしも本当に敵を悩ませたいと思うなら、何も言わずに彼を一人にしておけ〉
(アラブ)。
これまで何度も、アラブ世界の反発を招いてきた米国も、格言に学んだのかも
しれない。
イスラム教徒との共闘姿勢を強調して、イスラム国を孤立させようとしている。
▼ただ、空爆の効果については、専門家の多くは懐疑的だという。もともと、
オバマ政権は1年前、化学兵器を使用したシリアのアサド政権への空爆を
先送りした経緯がある。今回の軍事行動が成功したとして、
イスラム国と敵対するアサド政権が利益を得るというジレンマも抱えている。
▼そもそも、今日の危機を招いたのは、
2011年末のイラクからの米軍撤退である。「力の空白」が、怪物のような
過激派組織を育てる温床となった。
「軍隊がなくなれば、戦争がなくなる」。今も一部の
日本人が信じる「平和思想」は、アラブで、いや世界で一切通用しない。
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