2017年5月30日火曜日

韓国経済の行方

う~ン、でもまだ一カ月にもならない、今閣僚の人事聴聞委員会で
つまずいては入るが、ムンタンの息子の不正就職問題はあまり話題には
なっていないが、7月のG20で日本と首脳会談をやるが、ここが
一つのポイントだろう。

若い世代の恨みで誕生した文在寅大統領 韓国経済はかつてない
混乱に突入か 三橋貴明
 
(1/3ページ)【韓国・文在寅政権の行方は】

国家安全保障会議に臨む文大統領。そのかじ取りに疑問を投げかける
声も=14日(AP)

韓国大統領選(9日投開票)で、下馬評通り極左の最大野党
「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏(64)が勝利した。
文氏の経済政策はなかなか興味深く、
「政府主導で経済成長」を掲げている。(夕刊フジ)

具体的には、警察官や消防士、医療・保育の公共機関職員を、新たに
51万4000人採用。さらに、公共機関で働く約30万人の
間接雇用(=いわゆる、派遣社員)を、直接雇用に切り替える。
財源は、歳入の自然増や予算見直しに加え、
「大企業や高所得者層向けの増税」で賄う。と、明らかに
「反グローバリズム」的な経済政策が中心になっているのだ。

韓国は、1997年からの「アジア通貨危機」と
「IMF(国際通貨基金)管理」によって構造改革を強制され、
グローバリズムの優等生として成長してきた。結果、
正社員と非正規雇用、大企業と中小企業など、さまざまな所得格差が
拡大した。

過去10年で、正社員の月平均賃金は47%増加したのに対し、
非正規は25%増にとどまった。また、
正社員にしても、大企業と中小企業の給与差は2倍に達している。

(2/3ページ)【韓国・文在寅政権の行方は】

若年層失業率はILO(国際労働機関)推定で10%を超え、
「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「人間関係」「夢」「就職」の7つを諦めざるを得ない「七放世代」が増大している。
2015年には「ヘル・コリア」(地獄の朝鮮)と、韓国を卑下する
表現が流行語になった。

相も変わらず、財閥経済。財閥オーナーと、オーナー一族、そして
財閥役員が、現代の兩班(ヤンバン=貴族)として振る舞い、多くの
国民は過激な競争に敗れ、困窮していく。

グローバリズムの蔓延(まんえん)で、特に若い世代(40代以下)に
蓄積された鬱屈とした思い、いわゆる「ルサンチマン」(恨み)が
文氏を勝利に導いたのである。
20代から40代の文氏支持率は、常に50%を上回っていた。

逆に、50代以上は朝鮮戦争の記憶もあり、北朝鮮に融和的な姿勢を
見せる文氏に対し不信感を見せていた。

韓国大統領選では毎回、「経済民主化」(=財閥経済からの脱却)が
叫ばれ、そのたびに有権者が裏切られる状況が続いていた。
韓国の若者たちは、「旧弊の清算」などと革命的としか思えない過激な
公約を掲げた文氏が、
「今度こそ、経済民主化を達成してくれるかもしれない」と、希望を
見いだしたのであろう。

(3/3ページ)【韓国・文在寅政権の行方は】

ロシアの革命家、レーニンは自著『経済主義的ロマン主義の特徴づけに
よせて』で、共産主義運動指導者、カール・マルクスが講演において、
西欧諸国における「古い経済生活」と「古い半家父長制的諸関係」を、
資本主義が破砕したと解説し、さらに自由主義が「破砕」を
促進するとも指摘した。
「ただ、この意味でのみ、諸君、私は自由貿易に賛成するものなので
ある」と語ったと書き残している。

マルクスは、経済自由主義-今風に書くと
「グローバリズム」-だが、社会の基盤や秩序を破壊し、革命の機会を
醸成するが故に、自由貿易を支持していたのである。

まさに、現在の韓国は、グローバリズムにより既存の秩序が
「破砕」され、特にルサンチマンが蓄積された若い世代が「清算」を
求め、「革命家」を大統領の座に押し上げたように思えてならないのだ。

北朝鮮に融和的で、かつ既存の秩序の「清算」を掲げる大統領が
誕生したことで、韓国経済はかつて経験したことがない、混乱の
渦の中にたたき込まれることになる。

 ■三橋貴明(みつはし・たかあき) 
1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は
「経世論研究所」所長。著書・共著に
『2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本』
(徳間書店)、
『中国不要論』(小学館新書)、
『世界同時 非常事態宣言』(ビジネス社)など多数。

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