2018年1月7日日曜日

『習近平の悲劇』矢板明夫著

一見、ぽ~として、熊のぷ~さんと評される、習近平だが
権力好きなのは、中華発の情報でわかる・・・
だけど、経済音痴ってのは判る、中華もどうなるかね。

笹川平和財団上席研究員・渡部恒雄が読む『習近平の悲劇』
矢板明夫著 国内では権力闘争、国外では世界から反発

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『習近平の悲劇』矢板明夫著

この本は単なる習近平論ではない。
過去のカリスマ指導者と比較して実力・実績において劣る
「習近平」を、かつての毛沢東やトウ小平のように
持ち上げようとする、中国内の権力闘争とメディア統制を
生々しく描き出した好著だ。

著者の矢板明夫氏は、日本人在留孤児2世として身に付けた

ネーティブの中国語を駆使。
産経新聞特派員として北京で2007年から16年末まで
取材してきた。

本書には、厳しい言論統制下で聞き出した多くの中国人の
正直な証言がちりばめられている。しかもかつての
文化大革命で吹き荒れた「狂気」の毛沢東崇拝と対比して、
習近平の個人崇拝による体制強化と今後の行方を示唆し、
日本の戦略を再考させ、具体的な提言もするタイムリーな
「対中戦略本」でもある。

折しも2017年12月、米国のトランプ政権は
国家安全保障戦略を発表して、中国への警戒をあらわにした。「中国とロシアは米国の安全と繁栄を侵食することで、
われわれのパワー、影響力、利益に挑戦している」という
直截(ちょくせつ)的な表現は過去のどの政権も
使わなかったものだ。しかも
同文書は「『中国との関係構築の結果、中国は国際ルールを
尊重する善意のアクターになる』という米国のこれまでの
中国観の前提に再考を迫るものだ」とまで警告している。

本書は、トランプ政権が警告する中国の本質を、
習近平体制を確立するための権力闘争の過程に着目して描く。それは逆説的だが、習近平自身のカリスマ性、
実績・実力不足、それゆえの「反腐敗闘争」と
「メディアコントロール」という政治的意図を表す。

対外政策でも、意図的に「韜光養晦(とうこうようかい)」

という低姿勢外交からの脱却を目指し、米国のみならず
世界からの反発に直面していると著者は指摘。
しかも米中の対決シナリオだけでなく、
「裏の米中関係」による日本の頭越しのディール(取引)にも注意を喚起する。

このあたり、著者が米中関係に深い理解が
あることを物語る。実に、
評者が矢板氏に出会ったのも北京ではなくワシントンDCで
あったのだ。
(産経新聞出版・1300円+税)

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