2019年10月24日木曜日

10月23日 産経抄

もう、何年前か、私が幾つだったか記憶は定かでないが、先帝平成上皇陛下の結婚式の
祝賀パレードで陽光降り注ぐ中のパレードを鮮明に記憶してる。
今回も即位礼の始まるころ、雨はやみ皇居を包むように鮮明な虹がたったときくが、
天の叢雲の剣が恵みの雨をふらせ、天照大神が恵みの陽光を、そして富士山が、
初冠雪と万全の令和時代だ。  日本は、やはり何かに護られている。

10月23日 産経抄



天皇陛下が長年、「水」の問題に取り組んでこられたことはよく知られている。実は
「道」への興味が出発点だった。
英国留学の思い出をつづった『テムズとともに』のなかで明かされている。

▼外に出たくてもままならない幼少時代、よく赤坂御用地内を散策されていた。
ある日「奥州街道」と書かれた標識を見つけられ、かつて街道が御用地内を
通っていたと知る。
学習院大学文学部史学科では、中世の陸上交通を研究するはずだった。
瀬戸内海の水運へとテーマを移されたのは、史料の制約によるものだ。
英オックスフォード大学でまとめられた英語の論文は、
「交通路としてのテムズ川」だった。

▼陛下はやがて、日本の歴史に秘められた、人々と大雨や洪水との闘いに目を
向けられるようになる。
気候変動に伴って世界中で激化している水災害にも、警鐘を鳴らされてきた。
今回の台風19号についてはいち早く、皇后さまとともに、犠牲者や被災者に
「お見舞いと哀悼の気持ち」を発表されている。
祝賀パレードは11月に延期になった。

▼実は5世紀に、日本で最初の治水工事を行ったとされるのは仁徳天皇である。
自らには質素な生活を課しながら、常に民の竈(かまど)から煙が立っているか
気にかけていた。
古代の聖帝は、こんな逸話で知られる。
「日本書紀」には、淀川水系に堤防「茨田(まむたの)堤(つつみ)」を築いた、
との記述がある。

▼天皇陛下は昨日、即位を国内外に宣明された。
国民の幸せと世界の平和を常に願うとのお言葉で、強い決意を示された。
朝から降り続いていた雨は、「即位礼正殿の儀」の直前にはほぼやみ、雲の間から
青空さえのぞくようになった。

▼引き続き「水」の問題に立ち向かわれる陛下に、天が敬意を表したかのようである。

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