我々一般人の日本人からすれば、今年の日韓関係ほど面白いことはなかった。
2017年から2018年にかけあのフッ化水素行方不明があり、優遇措置国除外を
内密に留保され、にも、かかわらず労働者の国際法無視から、その年の、
レーザー照射問題、そして今年の年頭か、文大統領の
「日本は謙虚でなければならない」と、日本の二国間協議を18年11月から19年
6月まで無視しつづけたわけだ。
この8か月の間韓国・文大統領は日本は必ず譲歩してくると勝利の予感に酔っていたに
違いない。
ところが、今年の7月1日あの戦略物資三品目の輸出管理強化という日本の内政に
翻弄されることに、その右往左往ぶりに日本人は高見から大笑いときた・・・
これからどうなるか、大笑いを提供してくれるのか~~~~~
GSOMIA「人質」に取る韓国 防衛大学校教授・倉田秀也
2019.12.30
日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について記者会見する
韓国大統領府の金有根・国家安保室第1次長=11月22日、ソウル(共同)
ある種の既視感に襲われたのは筆者だけではあるまい。
些(いささ)か旧聞に属するが、過日の青瓦台による日韓間の
軍事情報包括保護協定(GSOMIA)延長の決定である。
「いつでも終了できる」との条件付きで「GSOMIAを終了したとの日本への
通告の効力を停止する」、日韓間で
「輸出管理に関する対話が正常的に進んでいる間は」、不当とした日本の
輸出管理強化の世界貿易機関(WTO)提訴も「中止する」-
この発表文の言辞は、北朝鮮がかつて対米関係で用いたそれを想起させる。
同民族では、やはり「条件闘争」の手法も酷似するということか。
≪北朝鮮と共通する手法≫
振り返ってみれば、1993年3月12日、北朝鮮が脱退宣言した核拡散防止条約
(NPT)では-GSOMIAと同様-脱退宣言が効力を発するには90日の
「猶予期間」が設けられていた。
北朝鮮はその直前の6月11日、米朝高官協議で脱退宣言を
「一方的に留保」するとした。
安保取り決めに「猶予期間」が設けられる主旨の一つは、その決定が重要で
あるがゆえに再考の余地を与えるところにある。
「猶予期間」満了時、宣言を行った国の選択肢は本来、宣言の効力発生か、宣言の
撤回のいずれかしかない。ところが、北朝鮮は以降の米朝高官協議で、脱退の
「意志」はあるが、脱退には至っていない「特殊な地位」を強調し、条約上の義務を
最小化しつつ権利を最大化することを試みた。
これが核不拡散体制をいかに揺るがせたか。
北朝鮮は曲折の末、94年10月の米朝「枠組み合意」で米国から米朝国交正常化の
確約、「安全の保証」など得難い外交的成果を得た。
これらは北朝鮮が米国にNPTから脱退する可能性を突き付け、NPTを
逆利用したからこそ得られた成果であった。
さらに北朝鮮は、米朝ミサイル協議の末、99年9月、
「米国との対話が継続している間は」「長距離ミサイル」の発射を「凍結する」と
発表した。
北朝鮮は米国が最も危惧する弾道ミサイル発射「凍結」を約束することで、米国を
対話に誘導し、米朝関係改善の機会を与え続けた。
NPT脱退宣言も米朝「ベルリン合意」も、北朝鮮がより大きな外交目標のため、
安保取り決めを「人質」にとる上では共通していた。
≪安保取り決め「従属変数」に≫
翻って、本年8月22日に日韓GSOMIA破棄を通告した韓国の場合も、90日の
「猶予期間」を経た11月22日にとりえた選択肢は本来-NPT脱退宣言後の
北朝鮮と同様-破棄通告の効力発生か、破棄通告の撤回のいずれかしかない。
韓国がGSOMIA延長に付けた「いつでも終了できる」との条件は、
NPT脱退宣言を「一方的に留保」した北朝鮮が核不拡散体制を揺るがしたように、
GSOMIAという安保取り決めを毀損(きそん)してはいないか。
「いつでも終了できる」ことが可能か否かは措(お)いても、GSOMIAは、
「条件闘争」の手段に堕している。
韓国はその「条件闘争」で主目的に据えるのは、日本の輸出管理強化措置の撤回で
あり、GSOMIA延長如何(いかん)はその従属変数に位置づけられている。
青瓦台発表文にあるように「輸出管理に関する対話が正常的に進んでいる間は」、
WTO提訴を「中止する」という誘因を与えてはいるが、日本が輸出管理強化措置を
撤回しなければ韓国はWTO提訴を再開し、日韓GSOMIAを
「いつでも終了できる」ことになっている。
これは99年の米朝「ベルリン合意」で、北朝鮮が「米国との対話が継続している
間は」「長距離ミサイル」の発射を「凍結する」としながら、06年7月に
弾道ミサイルを連射したことと軌を一にする。さらに韓国が、
日本の輸出管理強化措置をいわゆる「徴用工」判決への「対抗措置」と捉えている
限り、日本がその措置を撤回しなければ、韓国はWTO提訴を再開しうる。そこで
韓国がGSOMIA破棄を再びほのめかすこともありうる。
「徴用工」問題が未解決であり続け、韓国が日本の輸出管理強化措置をその
「対抗措置」と認識する限り、GSOMIA延長は必ずしも自明ではない。
≪批判されてよい発表文≫
韓国の対日外交に米朝関係に固有の言辞が用いられたのは、今回が初めてではない。
15年末の日韓「慰安婦合意」で問題解決に冠された「不可逆的」も、
ブッシュ政権が掲げた北朝鮮非核化原則-
CVID-のI(irreversible)で用いられていた。
ただし、「慰安婦合意」にあった「不可逆的」は日本が韓国への不信から
盛り込んだのに対し、日韓GSOMIA延長の発表文は青瓦台による。
しかも北朝鮮が「条件闘争」を米国に挑んでいたのに対して、今般の
日韓GSOMIA延長に関する青瓦台の発表文は、日本に「条件闘争」を挑みつつ、
日韓GSOMIAという安保取り決めを日本に輸出管理措置を撤回させるための
「人質」にとっている。
米国の同盟国の発表文がこのような構造をもつこと自体、批判されてもよい。
(くらた ひでや)
2017年から2018年にかけあのフッ化水素行方不明があり、優遇措置国除外を
内密に留保され、にも、かかわらず労働者の国際法無視から、その年の、
レーザー照射問題、そして今年の年頭か、文大統領の
「日本は謙虚でなければならない」と、日本の二国間協議を18年11月から19年
6月まで無視しつづけたわけだ。
この8か月の間韓国・文大統領は日本は必ず譲歩してくると勝利の予感に酔っていたに
違いない。
ところが、今年の7月1日あの戦略物資三品目の輸出管理強化という日本の内政に
翻弄されることに、その右往左往ぶりに日本人は高見から大笑いときた・・・
これからどうなるか、大笑いを提供してくれるのか~~~~~
GSOMIA「人質」に取る韓国 防衛大学校教授・倉田秀也
2019.12.30
日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について記者会見する
韓国大統領府の金有根・国家安保室第1次長=11月22日、ソウル(共同)
ある種の既視感に襲われたのは筆者だけではあるまい。
些(いささ)か旧聞に属するが、過日の青瓦台による日韓間の
軍事情報包括保護協定(GSOMIA)延長の決定である。
「いつでも終了できる」との条件付きで「GSOMIAを終了したとの日本への
通告の効力を停止する」、日韓間で
「輸出管理に関する対話が正常的に進んでいる間は」、不当とした日本の
輸出管理強化の世界貿易機関(WTO)提訴も「中止する」-
この発表文の言辞は、北朝鮮がかつて対米関係で用いたそれを想起させる。
同民族では、やはり「条件闘争」の手法も酷似するということか。
≪北朝鮮と共通する手法≫
振り返ってみれば、1993年3月12日、北朝鮮が脱退宣言した核拡散防止条約
(NPT)では-GSOMIAと同様-脱退宣言が効力を発するには90日の
「猶予期間」が設けられていた。
北朝鮮はその直前の6月11日、米朝高官協議で脱退宣言を
「一方的に留保」するとした。
安保取り決めに「猶予期間」が設けられる主旨の一つは、その決定が重要で
あるがゆえに再考の余地を与えるところにある。
「猶予期間」満了時、宣言を行った国の選択肢は本来、宣言の効力発生か、宣言の
撤回のいずれかしかない。ところが、北朝鮮は以降の米朝高官協議で、脱退の
「意志」はあるが、脱退には至っていない「特殊な地位」を強調し、条約上の義務を
最小化しつつ権利を最大化することを試みた。
これが核不拡散体制をいかに揺るがせたか。
北朝鮮は曲折の末、94年10月の米朝「枠組み合意」で米国から米朝国交正常化の
確約、「安全の保証」など得難い外交的成果を得た。
これらは北朝鮮が米国にNPTから脱退する可能性を突き付け、NPTを
逆利用したからこそ得られた成果であった。
さらに北朝鮮は、米朝ミサイル協議の末、99年9月、
「米国との対話が継続している間は」「長距離ミサイル」の発射を「凍結する」と
発表した。
北朝鮮は米国が最も危惧する弾道ミサイル発射「凍結」を約束することで、米国を
対話に誘導し、米朝関係改善の機会を与え続けた。
NPT脱退宣言も米朝「ベルリン合意」も、北朝鮮がより大きな外交目標のため、
安保取り決めを「人質」にとる上では共通していた。
≪安保取り決め「従属変数」に≫
翻って、本年8月22日に日韓GSOMIA破棄を通告した韓国の場合も、90日の
「猶予期間」を経た11月22日にとりえた選択肢は本来-NPT脱退宣言後の
北朝鮮と同様-破棄通告の効力発生か、破棄通告の撤回のいずれかしかない。
韓国がGSOMIA延長に付けた「いつでも終了できる」との条件は、
NPT脱退宣言を「一方的に留保」した北朝鮮が核不拡散体制を揺るがしたように、
GSOMIAという安保取り決めを毀損(きそん)してはいないか。
「いつでも終了できる」ことが可能か否かは措(お)いても、GSOMIAは、
「条件闘争」の手段に堕している。
韓国はその「条件闘争」で主目的に据えるのは、日本の輸出管理強化措置の撤回で
あり、GSOMIA延長如何(いかん)はその従属変数に位置づけられている。
青瓦台発表文にあるように「輸出管理に関する対話が正常的に進んでいる間は」、
WTO提訴を「中止する」という誘因を与えてはいるが、日本が輸出管理強化措置を
撤回しなければ韓国はWTO提訴を再開し、日韓GSOMIAを
「いつでも終了できる」ことになっている。
これは99年の米朝「ベルリン合意」で、北朝鮮が「米国との対話が継続している
間は」「長距離ミサイル」の発射を「凍結する」としながら、06年7月に
弾道ミサイルを連射したことと軌を一にする。さらに韓国が、
日本の輸出管理強化措置をいわゆる「徴用工」判決への「対抗措置」と捉えている
限り、日本がその措置を撤回しなければ、韓国はWTO提訴を再開しうる。そこで
韓国がGSOMIA破棄を再びほのめかすこともありうる。
「徴用工」問題が未解決であり続け、韓国が日本の輸出管理強化措置をその
「対抗措置」と認識する限り、GSOMIA延長は必ずしも自明ではない。
≪批判されてよい発表文≫
韓国の対日外交に米朝関係に固有の言辞が用いられたのは、今回が初めてではない。
15年末の日韓「慰安婦合意」で問題解決に冠された「不可逆的」も、
ブッシュ政権が掲げた北朝鮮非核化原則-
CVID-のI(irreversible)で用いられていた。
ただし、「慰安婦合意」にあった「不可逆的」は日本が韓国への不信から
盛り込んだのに対し、日韓GSOMIA延長の発表文は青瓦台による。
しかも北朝鮮が「条件闘争」を米国に挑んでいたのに対して、今般の
日韓GSOMIA延長に関する青瓦台の発表文は、日本に「条件闘争」を挑みつつ、
日韓GSOMIAという安保取り決めを日本に輸出管理措置を撤回させるための
「人質」にとっている。
米国の同盟国の発表文がこのような構造をもつこと自体、批判されてもよい。
(くらた ひでや)
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