2012年1月3日火曜日

おさんの出稼ぎ土産

むかしからこのあたりは雪がおおかつた
一年のうちは半分くらいは雪にうもれとつて、野良仕事も山仕事もできねえありさまだつた。
村の若いもんは、男といわず、女といわずみんな雪がふりはじめつと、風呂敷をかついで造り酒屋へ出稼ぎにいつたそうな。
春が来て、その冬の出稼ぎがおわつた、娘っ子たちが帰ってきたと、
皆、無事に帰ってきたけんど、おさんだけはどうも、様子がおかしい。
おさんの、おかあには、どうも娘の腹が大きくなつたような気がしてなんねえ。
おかあは、しばらくしらんふりをしていたけんども
おさんは、なにがあつたかなかなか話してくれそうもなかつたと。
ある日、おもいきって娘を裏の小屋につれていき、娘にきつく聞いてみた。
「ちよっくら喋りにくいことだけんども、お前、出稼ぎにいって赤ん坊さみやげにもってきたんと違うか。」
娘はしばらくもじもじ、していたけんども
「あるいは はー そうかも しれねえす。」うなだれながらポッリと云ッたと
「やッぱり そうじゃたか そんで相手の男はどこのどいつじゃ」
娘は口を硬く閉ざしておッたが、やがて涙を目にいッぱいためながら
「となりのサヨと  ミヨが二人して、ぎッちり押さえつけて。。。。。」
「何 二人して おさえつけらて やッぱり無理やりやられたか まっことサヨもミヨもけしからんやつじゃ」
「そ それで男はどこの何者じゃ」
娘は涙えをふきながら
「二人で押さえつけたのは隣村の六平ちゅう男で、いやじゃ、いやじゃと泣いておるのを、
おらが上にのってしまっただ」

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