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2012年9月15日土曜日

薬効植物 ベンケイソウ



ベンケイソウ

分類 ユキノシタ目 ベンケイソウ科 ベンケイソウ

特徴
多肉質の葉を持ち、水分を貯蔵できる。
分布は世界中に広がっているが、特に北半球と南アフリカに多く、水の乏しい乾燥した
地域に産する。
この科の植物は食用としては重要ではないが、花卉園芸用に多くの種が流通する。
それら品種の多くは特異な魅力を持ち、頑健で育てやすいことから人気が高い。
カネノナルキ(金のなる木)やカランコエもこの科に属する。
多くは属、種間での交雑が容易で、野生、または人為の交雑があり、しばしば分類は容易で
ない。旧来の分類ではベンケイソウ科はバラ目に含まれたが、分子系統解析ではユキノシタ目

に属する結果が得られる。
また、CAM型光合成(Crassulacean Acid Metabolism)という名称は、最初にこの科の
植物からこの代謝経路が発見されたことにちなむ。

利用
はれもの、切り傷には生葉を軽く火で炙り、裏の薄皮を剥いで患部にはる。
オオベンケイソウも、同様にりようしてもよい。

2012年9月14日金曜日

薬効植物 アロエ



薬効植物 アロエ

分類 ユリ目 アロエ科 アロエ属  Aloe
英名 Aloe

アロエ(蘭: Aloe)はアロエ科アロエ属の多肉植物の総称。
現在までに300種以上が知られている。アロエ属全体としては原産地はアフリカ大陸南部、
およびマダガスカルに集中している。古くはアロエの「ロエ」を漢字で音訳(当て字)した「蘆薈」の読みを変えた、
「ろかい」と称した。
琉球方言ではこの漢字の中国風の発音「るふぇー」と称する。
日本にも伝来し、現在は九州、瀬戸内海、伊豆、千葉と主に太平洋側に多く自生している。
日本ではキダチアロエとアロエベラが多く、その他アロエ・サポナリア、アロエ・不夜城も
よく栽培されている。
アロエ属の科は分類体系によって異なっており、アロエ科、ユリ科、ツルボラン科の
いずれかとなる。
世界で一番大きなアロエはバイネーシー (A. bainesii)で 高さ18mにもなり、花穂は三叉に
分岐、ピンクの花をつける。
逆に、最小のものはアロエディスコイングシー (A. descoingsii)で最大でも数cmにしか
ならない。
種類
キダチアロエ
普通観賞用に栽培されるものはキダチアロエ(学名Aloe arborescens)という。
「木立ち」の名の通り茎が伸びて立ち上がる。暖地では戸外でも育ち冬に赤橙色の花を
つける。葉の外皮は苦味が強いが、葉内部のゼリー質はアロエベラと変わらず苦味はない。
ワシントン条約によって輸出入は制限されている。

アロエベラ
食用にはアロエベラ (A. vera) の外皮を剥いたゼリー質が使用されている。
ほぼ全種がワシントン条約で保護されるアロエ属にあって唯一栽培種として例外措置されて
いる。花は黄色で葉は長く株の中心部の葉が成長し、外側の葉は成長に伴い枯死する。
寒さには弱い。食用ではヨーグルトに入れるほか、日本では刺身などにされる。

生薬
日本薬局方に基原植物として収載されているアロエは、アロエフェロックス
(A. ferox、ケープアロエともいう)及び、これとアロエアフリカーナ (A. africana)、
 またはアロエスピカータ (A. spicata) との雑種と定められている。
これらの葉の汁を濃縮乾燥させたものが日本薬局方でいう「アロエ」である。
なお、キダチアロエ・ケープアロエ以外の観葉植物として出回っているほとんどのアロエには、薬効となる成分は含まれていないので、誤った使用をすべきではない。
キダチアロエは、昔から俗に「医者いらず」といわれてきたものであり、葉肉の内服で健胃効果があるとされ、また含有するバルバロインの下剤効果により便秘に効果がある。
ただし、体質によっては胃炎を起こす場合があることや、継続摂取による大腸の色素沈着を
起こすことがあることなども報告されている。
また外用として傷や火傷に用いられる場合もあるが、逆に悪化させた例も報告されており、
使用には一定の注意が必要である。
なお、ドイツの薬用植物の評価委員会コミッションEによれば、ゲル状物質(葉の中央にある
柔組織に存在する粘性の物質)の外用は、痛みや火傷の回復に対して有効性が示唆されて
いる。

注意点
専門機関の研究によれば、子宮収縮作用が有るため、妊娠中の使用は避けるべきで
ある。

薬効植物 アカマツ



薬効植物 アカマツ

分類 マツ目 マツ科 マツ属 アカマツ
和名 アカマツ、メマツ
英名 Japanese Red Pine

アカマツ(赤松、学名:Pinus densiflora)は、マツ科マツ属の常緑針葉樹である。
複維管束亜属(いわゆる二葉松)に分類される。別名はメマツ(雌松)。


特徴
目に触れる機会の多いマツである。文字通り樹皮が赤いのでこの名が付いている。
クロマツと非常によく似ているが、葉がやや細く柔らかく、手で触れてもクロマツほど痛く
ない。そのためクロマツが「雄松」と呼ばれることに対比して、「雌松」と呼ばれることも
ある。
また、成長すると樹皮が鱗状に剥がれるのはクロマツと同じだが、アカマツではこれがより
薄く、赤っぽくなる。

分布
日本産のマツの中でもっとも広い範囲に分布し、
天然状態では本州・四国・九州・朝鮮半島・中国東北部などに分布するほか、
北海道にも植林されている。温暖地に多いが、クロマツに比べかなり寒冷な気候にも耐えることができ、八ヶ岳山麓の美しの森山(海抜約1,500m)にも、大規模な群落が見られる他、
北海道南部でも天然林化しているものがある。
クロマツが耐潮性が強く海岸線付近に多く生育するのに対して、アカマツはどちらかといえば内陸に産する。
マツ属一般にそうであるように、明るい場所を好む陽樹であり、不毛な土地にも耐える
ことができる。
安定した極相林の中では子孫を残すことができない、典型的な先駆植物である。
このため、いわゆる里山に於いては、日当たりのよく栄養の乏しい尾根筋に植えられることが多かったが、現在の荒廃した里山ではその数を大幅に減らしている。
またアカマツ林は、マツタケの生産林でもある。アカマツとマツタケは相利共生の関係で
あり、マツタケが生えるような環境の方が生えない環境のものより寿命が長い。


利用
樹形をコントロールしやすいので、庭木として栽培される他、盆栽としても利用される。
材には松脂を多く含み、火付きがよく火力も強い。そのため薪の原料として重視されていた。化石燃料が普及した現在でも、陶芸の登り窯にくべる薪やお盆の松明などに使われている。
京都の五山送り火でも、大量のアカマツの薪が組まれて焚かれ、それぞれ文字の形になる。
稀に建材としても利用されるが、狂いがやや生じやすい上に、長期間を経て材の表面から
松脂が滲み出て滴下することもあり、利用しやすい材であるとは言い難い。
かつてのアカマツ林には常時人の手が入り、燃料として落ち松葉や枯れ枝が持ち出されて
いた。
この行為によって林床が貧栄養で乾燥した他の植物の侵入しにくい条件となり、遷移を止める役割を担っていたと考えられている。
アカマツだけでなくマツタケもこのような環境を好むために、マツタケ山では、そのような手入れを現在も行っている例がある。
ゴヨウマツなど、マツ科の一部の種子は松の実として食用にされている。
しかしアカマツの種子は風で分散するため比較的小さく、食用にはあまり向かない。

生薬
アカマツの松ヤニから採取する油が松脂(しょうし)で、神経痛など外用薬として利用。
松葉1キロを1,8りットルに漬けた松葉酒は、低血圧、不眠、冷え性によい。
生葉は浴湯料に利用する。

2012年9月13日木曜日

薬効植物 ちがや



薬効植物 チガヤ

分類  イネ目 イネ科 チガヤ属 チガヤ
和名 チガヤ

チガヤ(茅・茅萱)というのは、ごく普通に見られるイネ科の多年草である。
日当たりのよい空き地に一面にはえ、白い穂を出す。かつては食べられたこともある、
古くから親しまれた雑草である。

特徴
チガヤ(Imperata cylindrica (L.) P.Beauv.)は、単子葉植物イネ科チガヤ属の植物である。
細い葉を一面に立てた群落を作り、白い穂を出す。
地下茎は横に這い、所々から少数の葉をまとめて出す。地上には花茎以外にはほとんど葉だけが出ている状態である。葉には細くて硬い葉柄があって、その先はやや幅広くなり、広線形。葉はほとんど真っすぐに立ち上がり、高さは30-50cm程になる。葉の裏表の差はあまりない。
葉の縁はざらつくがススキほどではない。
葉は冬に枯れるが、温暖地では残ることもある。
この時期、葉は先端から赤く染まるのが見られる。
初夏に穂を出す。穂は細長い円柱形で、葉よりも高く伸び上がり、ほぼまっすぐに立つ。
分枝はなく、真っ白の綿毛に包まれていて、よく目立つ。
種子はこの綿毛に風を受けて遠くまで飛ぶ。日向の草地にごく普通に見られ、道端や畑にも
出現する。地下にしっかりした匍匐茎があるため、大変しつこい雑草である。
河原の土手などでは、一面に繁茂することがある。芽の先端が細く尖り、塩化ビニール製の
ホース程度なら貫通する場合もあるという。

花の構造
花穂は白い綿毛に包まれるが、この綿毛は小穂の基部から生じるものである。
小穂は花序の主軸から伸びる短い柄の上に、2個ずつつく。
長い柄のものと、短い柄のものとが対になっていて、それらが互いに寄り沿うようになって
いる。
小穂は長さが4mmほど、細い披針形をしている。
小花は1個だけで、これは本来は2個であったものと考えられるが、第1小花はなく、
その鱗片もかなり退化している。
柱頭は細長く、紫に染まっていて、綿毛の間から伸び出すのでよく目立つ。

分布
日本では、北海道から琉球列島までの全土でごく普通。国外ではアジア大陸の中西部から
アフリカ、オーストラリアにわたる広い範囲に分布し、現在では北アメリカにも帰化して
いる。
なお、日本にあるものをフシゲチガヤ(var. koenigii (Retz.) Durand et Schniz) として
変種とする説がある。
原名変種は地中海沿岸に分布し、節に毛がないこと、小穂がやや大きく、柄がほとんどない
ことで区別される。
なお、チガヤ属には世界の熱帯から暖帯に約10種があるが、日本では1種だけである。

人間との係わり
ごく人間の身近に生育する草である。
地下にしっかりした匍匐茎を伸ばすので、やっかいな雑草である。
他方、さまざまな利用も行われた。そのため古くから親しまれ、古名はチ(茅)であり、
花穂はチバナまたはツバナとも呼ばれ、古事記や万葉集にもその名が出る。
この植物はサトウキビとも近縁で、植物体に糖分を蓄える性質がある。外に顔を出す前の
若い穂は、噛むと甘く、子供がおやつ代わりに噛んでいた。
地下茎の新芽も食用となったことがある。
万葉集にも穂を噛む記述がある。
茎葉は乾燥させて屋根を葺くのに使い、また成熟した穂を火口(ほくち)に使った。
乾燥した茎葉を梱包材とした例もある。
また、花穂を乾燥させたものは強壮剤、根茎は茅根(ぼうこん)と呼ばれて利尿剤にも
使われる。
他に、ちまき(粽)は現在ではササの葉などに包むのが普通であるが、本来はチガヤに
巻いた「茅巻き」で、それが名の由来であるとの説がある。
もう一つの利用として、園芸方面がある。この植物はむしろ雑草であるが、葉が赤くなる
性質が強く出るものを栽培する例がある。

利用
日干しした根茎が茅根(ぼうこん)で、急性腎炎や、妊娠中のむくみを取るためにつかう。
15gを600ccの水で半量に煎じて食間3回に分服する。

2012年9月12日水曜日

薬効植物  コノテガシワ




薬効植物 コノテガシワ

分類 マツ目 ヒノキ科 コノテガシワ属 コノテガシワ
和名 コノテガシワ
英名 Chinese Arborvitae

コノテガシワ(側柏、学名:Platycladus orientalis)は、ヒノキ科の植物の1種。
コノテガシワ属唯一の現生種である。

概要
朝鮮、中華人民共和国北部に分布する常緑針葉高木。
枝は密に出てほぼ直立し、枝葉の表裏の区別が無い
(同じヒノキ科でもヒノキ属などでは明確な表裏の区別が認められる)。
雌雄異花で、花期は3?4月頃、雌花は淡紫緑色、雄花は黄褐色である。
球果は角のある独特の形で淡灰青色になる。
枝が直立する様子が、子供が手を上げる様子に似ていることからコノテガシワの名がある。
日本ではこんもりと丸みを帯びた樹幹の小低木となる園芸品種のセンジュ(千手)が広く普及しており、公園木、庭木としてよく栽培されている。



利用
採取時期は通年
生薬名 葉を陰干しした物が 側柏葉(そくはくよう)
    種子の日干しが   柏子仁(はくしにん)

側柏葉は15gを600ccの水で半量に煎じて、3回に分服すれば下痢止めに良い。
柏子仁は10gを軽く炒って、すりつぶし水で1日3回分服すれば滋養,強壮によい。

薬効植物 トクサ 



薬効植物 トクサ

分類 トクサ目 トクサ科 トクサ属 トクサ
和名 トクサ(砥草、木賊)

トクサ(砥草、木賊、学名:Equisetum hyemale L.)とは、
シダ植物門のトクサ科トクサ属の植物。


本州中部から北海道にかけての山間の湿地に自生するが、観賞用などの目的で
栽培されることも多い。
表皮細胞の細胞壁にケイ酸が蓄積して硬化し、砥石に似て茎でものを研ぐことができること
から、砥草の名がある。
地下茎があって横に伸び、地上茎を直立させる。茎は直立していて同じトクサ科のスギナや
イヌドクサ、ミズドクサの様に枝分かれせず、中空で節がある。
茎は触るとザラついた感じがし、引っ張ると節で抜ける。節の部分にはギザギザのはかま状の

ものがあって、それより上の節の茎がソケットのように収まっているが、このはかま状の
ぎざぎざが葉に当たる。茎の先端にツクシの頭部のような胞子葉群をつけ、
ここに胞子ができる。
その姿のおもしろさから、庭で栽培されることもある。茎は煮て乾燥させたものを紙ヤスリの

ようにして研磨の用途に使う。
また紙ヤスリが一般的な現代でも高級なつげぐしの歯や漆器の木地加工、木製品の作業工程
などの磨き仕上げる工程に使用されていることや、音楽家の滝廉太郎は、身だしなみに気を
遣ったため、常々トクサで爪を磨いていたことがよく知られている。
クラリネットなどのリード楽器の竹製リードを磨いて調整するのにもトクサが用いられる。
干した茎は木賊(もくぞく)と呼ばれる生薬で、その煎液を飲用すると目の充血や涙目に
効果があるといわれている。
小話に、明治時代の郵便夫が、わらじがあまりにすり減るのを嘆き、すり減らなさそうな
材料としてトクサを使う話がある。
その結果、足先からすり減って頭だけになった郵便夫は、頭を鞄に片づけて帰ったという
落ちである。
「木賊刈る」は秋の季語。

乾燥したトクサ。最も目の細かい紙やすりと同等に使われる。

2012年9月11日火曜日

薬効植物 月桂樹



薬効植物 ゲッケイジュ
分類 クスノキ目 クスノキ科 ゲッケイジュ属 ゲッケイジュ

和名 ゲッケイジュ(月桂樹)
英名 Bay laurel
ゲッケイジュ(月桂樹、学名:Laurus nobilis)は、クスノキ科の常緑高木。


概要
地中海沿岸原産。雌雄異株。葉に芳香があって古代から用いられた。
ギリシャ神話のアポロンとダフネの物語に由来し、ギリシャやローマ時代から神聖視された
樹木の一つ。古代ギリシアでは葉のついた若枝を編んで「月桂冠」とし、勝利と栄光の
シンボルとして勝者や優秀な者達、そして大詩人の頭に被せた。
特に月桂冠を得た詩人は桂冠詩人と呼ばれる。

利用
食用・薬用
葉、実は、それぞれ月桂葉、月桂実という生薬名を持つ。
葉にはシネオールと呼ばれる芳香成分が含まれ、葉を乾燥させたものをローリエ
(フランス語: laurier)、ローレル(英語: laurel)、ベイリーフ(英語: bay leaf)
などと呼び、香辛料として広く流通している。
民間伝承として、ローリエには以下のような効用があるとされる。

蜂さされやリューマチ、神経痛などへの効果がある。
唾液の分泌を促進し、食欲の増進や消化を助ける。
穏やかな麻酔作用もあるとも言われる。
欧州の伝承療法では、毎朝2枚の月桂樹の葉を食べることで肝臓を強くすることができると
されている。
2001年、カゴメ株式会社総合研究所は、月桂樹の中に、血管を拡張する作用を示す物質が
含まれていることを明らかにした。なお、人体への効果については検証されていないと
いう情報もある。

その他
庭木、公園樹としての利用のほか、葉は料理に、葉や果は薬用として利用される。
芳香成分による臭い付けはできるが空気清浄効果は認められていない。

2012年9月10日月曜日

薬効植物 クロモジ




薬効植物 クロモジ

分類 クスノキ目 クスノキ科 クロモジ属 クロモジ

和名 クロモジ
クロモジ(黒文字、Lindera umbellata)はクスノキ科の落葉低木。
枝を高級楊枝の材料とし、楊枝自体も黒文字と呼ばれる。また香料の黒文字油がとれる。

特徴
本州、四国、九州などの低山や疎林の斜面に分布する。茎は高さ5m程度になる。
若枝ははじめ毛があるが次第になくなり、緑色のすべすべした肌に、次第に黒い斑紋がでる
ことが多い。古くなると次第にざらついた灰色の樹皮に覆われる。
葉は洋紙質で楕円形、深緑でつやはない。
葉裏はやや白っぽい。雌雄異株。花は黄緑色で、春に葉が出るのと同じ頃、葉脇から出た散形花序に咲く。
果実は液果で10月頃に黒熟する。葉や枝には芳香がある。

利用
黒文字の名は若枝の表面にでる斑紋を文字に見立てたものといわれる。
古くからこれを削って楊枝を作る。
特に根本に皮を残すのが上品とされる。現在でも和菓子など特に選ばれたところではクロモジの楊枝が使われる。
また枝葉を蒸留して黒文字油をとる。黒文字油はテルピネオール、リモネンなどを含有する。現在はあまり使われないが、香料としてかつては化粧品、石鹸などに盛んに使われ、輸出も
された。
また枝(烏樟)や根(釣樟)を薬用にもする(養命酒など)。

風習
東北、北越では、クロモジは鳥木と呼ばれ、狩りの獲物をクロモジの木の枝に刺し、
神への供物とする風習がある。
鷹狩で取った獲物を贈る際に、クロモジの枝で結ぶことが多く、鳥柴とも呼ばれる。


2012年8月31日金曜日

薬効植物、薬草 リンドウ 



薬草 薬効植物 リンドウ

分類 リンドウ目 リンドウ科 リンドウ属 種:トウリンドウ 変種:リンドウ

和名 リンドウ(竜胆)
英名 Japanese gentian
リンドウ(竜胆)とは、リンドウ科リンドウ属の多年生植物である。
1変種 Gentiana scabra var. buergeri をさすことが多いが、近縁の他品種や他種を含む
総称名のこともある。古くはえやみぐさ(疫病草、瘧草)とも呼ばれた。

特徴
本州から四国・九州の湿った野山に自生する。
花期は秋。花は晴天の時だけ開き、釣り鐘型のきれいな紫色で、茎の先に上向きにいくつも
咲かせる。高さは50cmほど。葉は細長く、対生につく。
かつては水田周辺の草地やため池の堤防などにリンドウやアキノキリンソウなどの草花が
たくさん自生していたが、それは農業との関係で定期的に草刈りがなされ、草丈が低い状態に

保たれていたためだった。
近年、そのような手入れのはいる場所が少なくなったため、リンドウをはじめこれらの
植物は見る機会が少なくなってしまい、リンドウを探すことも難しくなってしまっている。

利用
園芸植物として、または野草としてよく栽培されるが、園芸店でよく売られているのは
別種のエゾリンドウの栽培品種のことが多い。生薬のリュウタン(竜胆)の原料の1種である。

根の日干しが竜胆で、熊の胆よりも苦いため、そうよばれる。
食欲不振、消化不良、胃酸過多症などにつかう。

2012年8月26日日曜日

薬草 薬好果物 ムベ



薬草 薬好果物 ムベ(郁子)

分類 キンポウゲ目 アケビ科 ムベ属 種:ムベ

和名 ムベ(郁子 トキワアケビ(常葉通草)
ムベ(郁子、野木瓜、学名:Stauntonia hexaphylla)は、アケビ科ムベ属の常緑つる性
木本植物。別名、トキワアケビ(常葉通草)。

特徴
日本の本州関東以西、台湾、中国に生える。柄のある3~7枚の小葉からなる掌状複葉。
小葉の葉身は厚い革質で、深緑で艶があり、裏側はやや色が薄い。
裏面には、特徴的な網状の葉脈を見ることが出来る。
花期は5月。花には雌雄があり、芳香を発し、花冠は薄い黄色で細長く、
剥いたバナナの皮のようでアケビの花とは趣が異なる。
10月に5~7cmの果実が赤紫に熟す。
この果実は同じ科のアケビに似ているが、果皮はアケビに比べると薄く柔らかく、
心皮の縫合線に沿って裂けることはない。果皮の内側には、乳白色の非常に固い層がある。
その内側に、胎座に由来する半透明の果肉をまとった小さな黒い種子が多数あり、
その間には甘い果汁が満たされている。
果肉も甘いが種にしっかり着いており、種子をより分けて食べるのは難しい。
自然状態ではニホンザルが好んで食べ、種子散布に寄与しているようである。

利用
主に盆栽や日陰棚にしたてる。食用となる。
日本では伝統的に果樹として重んじられ、宮中に献上する習慣もあった。
しかしアケビ等に比較して果実が小さく、果肉も甘いが食べにくいので、商業的価値は
ほとんどない。
茎や根は野木瓜(やもっか)という生薬で利尿剤となる。

薬草 薬用植物 ミシマサイコ



薬草 薬用植物 ミシマサイコ

分類 セリ目 セリ科 ミシマサイコ属 または ホタルサイコ属 種 ミシマサイコ

和名 ミシマサイコ 
ミシマサイコ(三島柴胡、Bupleurum scorzonerifolium)はセリ科の多年草。

特徴
本州から四国・九州の日当たりの良い山野に自生する。
近年では乱獲により絶滅危惧種となっている。
高さ30 - 50cm。花期は8 - 10月で、小さな黄色の花を多数咲かせる。
ミシマサイコ またはその変種の根は柴胡(さいこ、「紫胡」はよくある誤字)という生薬で
あり、日本薬局方に収録されている。
解熱、鎮痛作用があり、大柴胡湯(だいさいことう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などの多くの漢方方剤に配合される。
和名は、静岡県の三島市付近の柴胡が生薬の産地として優れていたことに由来する
(現在の産地は、宮崎県、鹿児島県、中国、韓国など)。

単独で用いることはなく、生薬に配合されるのが主なりようである。
野生はまれ、現代は栽培が主流である。

柴胡剤
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡桂枝乾姜湯
四逆散
加味逍遙散
抑肝散
補中益気湯
十味敗毒湯

2012年8月25日土曜日

薬草 薬用植物 フジバカマ



フジバカマ  (8:14 2012/08/25)
分類 キク目 キク科 キク亜科 ヒヨドリバナ属 フジバカマ

和名 フジバカマ
英名 Thoroughwort
フジバカマ(藤袴、Eupatorium japonicum)とはキク科ヒヨドリバナ属の多年生植物。
秋の七草の1つ。

特徴
本州・四国・九州、朝鮮、中国に分布している。
原産は中国ともいわれるが、万葉の昔から日本人に親しまれてきた。
8-10月、散房状に淡い紫紅色の小さな花をつける。
また、生草のままでは無香のフジバカマであるが、乾燥するとその茎や葉に含有されている、

クマリン配糖体が加水分解されて、オルト・クマリン酸が生じるため、桜餅の葉のような
芳香を放つ。

中国名:蘭草、香草
英名:Joe-Pye weed;Thoroughwort;Boneset;Agueweed(ヒヨドリバナ属の花)
かつては日本各地の河原などに群生していたが、今は数を減らし、環境省のレッドリストでは

準絶滅危惧(NT)種に指定されている。また「フジバカマ」と称する植物が、観賞用として園

芸店で入手でき庭にも好んで植えられる。
しかし、ほとんどの場合は本種でなく、同属他種または本種との雑種である。

薬草としての利用
有毒物質のピロリジジンアルカロイドを含有している。
乾燥させた茎葉が蘭草で、腎炎などのむくみに、10gを600ccの水で半量に煎じ
食間3回に分服する。

利尿剤
風呂の湯に入れる

2012年8月24日金曜日

薬草 薬用植物 ひまわり





薬草 薬用植物 ヒマワリ

分類 キク目 キク科 キク亜科 ヒマワリ属 種:ヒマワリ

和名 ヒマワリ(向日葵)
英名 Sunflower
ヒマワリ(向日葵、学名:Helianthus annuus)はキク科の一年草である。
日回りと表記されることもあり、また、ニチリンソウ(日輪草)と呼ばれることもある。
種実を食用や油糧とするため、あるいは花を花卉として観賞するために広く栽培される。
ヒマワリは夏の季語である。

種子を軽く炒って食べると滋養によい。
種子から採取した油は良質で、食用、灯火用、石鹸材料につかわれる。

特徴
原産地は北アメリカ。高さ3mくらいまで生長し、夏にかなり大きな黄色の花を咲かせる。
大きな1つの花のように見えるが頭状花序と呼ばれ、多数の花が集まって1つの花の形を
作っている。
これは、キク科の植物に見られる特徴である。
外輪に黄色い花びらをつけた花を舌状花、内側の花びらがない花を筒状花と区別して呼ぶ
場合がある。
和名の由来は、太陽の動きにつれてその方向を追うように花が回るといわれたことから。
ただしこの動きは生長に伴うものであるため、実際に太陽を追って動くのは生長が盛んな
若い時期だけである。
若いヒマワリの茎の上部の葉は太陽に正対になるように動き、朝には東を向いていたのが
夕方には西を向く。日没後はまもなく起きあがり、夜明け前にはふたたび東に向く。
この運動はつぼみを付ける頃まで続くが、つぼみが大きくなり花が開く頃には生長が止まる
ため動かなくなる。
その過程で日中の西への動きがだんだん小さくなるにもかかわらず夜間に東へ戻る動きは
変わらないため、完全に開いた花は基本的に東を向いたままほとんど動かない。
なお、これは茎頂に一つだけ花をつける品種が遮るもののない日光を受けた場合のことで
あり、多数の花をつけるものや日光を遮るものがある場所では必ずしもこうはならない。
北海道の標準播種期は5月上旬であり、霜や氷点下の気温にも耐性はある。
種は長卵形でやや平たい。種皮色は油料用品種が黒色であり、食用や観賞用品種には
長軸方向に黒と白の縞模様がある。




利用
ヒマワリ油
種は絞って搾油されヒマワリ油として利用される。
ヒマワリ油には不飽和脂肪酸が多く含まれる。1990年代までリノール酸が70 - 80%、
オレイン酸が10 - 20%のハイリノールタイプが主流であったがω-6系列の脂肪酸である
リノール酸の発ガンや高脂血症、アレルギー等との因果関係が報告されるにいたり、
リノール酸が15 - 20%、オレイン酸が40 - 60%の中オレインタイプのNuSun品種が伝統的な
交配育種法により育成され、2000年以降は主流となっている。煎って食用とすることができる

。乾燥した種子を用いる生薬名は「向日葵子」(こうじつきし)。また、ペット(ハムスター

、小鳥など)の餌に利用される。
ディーゼルエンジン用燃料(バイオディーゼル)として利用する研究も進められている。




除染効果
ヒマワリはカリウムなどと共に性質が類似するセシウムを吸収する性質を持つことから、
原発事故などで放射能汚染された土地に植えたら除去できる(ファイトレメディエーション)

という説が流布しているが、そのような効果は認められていない。
そもそも、一般的に植物にとって必須元素であるカリウムの吸収が放射性セシウムの
除染のために価値がある程大きいのであれば、ヒマワリの生えた後の土壌は極端に
貧栄養化しているはずである。
また農林水産省は「ヒマワリはセシウムの吸収率が低く、除染に極めて長い時間がかかるため
実用的ではない」としている。

薬草 薬用植物 ビナンカズラ




サネカズラ

分類 シキミ目 マツブサ科 サネカズラ属 サネカズラ

和名 サネカズラ、ビナンカズラ

サネカズラ(実葛、学名:Kadsura japonica)はマツブサ科サネカズラ属の常緑つる性木本。別名、ビナンカズラ(美男葛)。

葉は長さ数cmでつやがあり互生する。ふつう雌雄異株で、8月頃開く花は径1cmほど、
10枚前後の白い花被に包まれ、中央におしべ、めしべがそれぞれ多数らせん状に集まる。
雌花の花床は結実とともにふくらみ、キイチゴを大きくしたような真っ赤な丸い集合果を
つくる。
花は葉の陰に咲くが、果実の柄は伸びて7cmになることもあり、より目につくようになる。
単果は径1cmほどで、全体では5cmほどになる。果実は個々に落ちてあとにはやはり真っ赤な
ふくらんだ花床が残り、冬までよく目立つ。



分布と生育環境
関東地方以西、西日本から中国南部までの照葉樹林によく見られる。
庭園に植えることもある。

利用と文化
ビナンカズラともいうが、これは昔つるから粘液をとって整髪料に使ったためである。
盆栽として栽培もされる。
果実を漢方薬の五味子(チョウセンゴミシ)の代わりに使うこともある。

薬用
乾燥果実を南五味子(なんごみし)といい、苦味がつよく酸味がすくないので
あまり漢方薬にはつかわれない。
民間では5gを200ccのみずで、半量になるまで煎じ、食間3回に分服する。
強壮、咳止めにつかう。
また果実酒にしてもよい。(当サイトの健康ジュースに作り方あり)

2012年8月23日木曜日

薬草 薬用植物 ヒキオコシ



薬草 薬用植物 ヒキオコシ

分類 シソ科 ヒキオコシ

生薬名延命草として胃に良い薬草として有名である。
強い苦味があり、数万倍の水溶液にしても、なお苦味が残り、センブリもヒキオコシには
勝てないと言われるほどだ。

分布
全国の日あたりの良い山野に自生。

形態
多年草で草丈1~1,5m、茎葉ともに強い苦味と匂いがある。
9~10月に小さい唇形の花が咲く。

薬用
製薬原料とされるほか、民間では胃弱、胃下垂などに。
茎葉の陰干し、6~10gを600ccの水で半量になるまで煮詰め
食後3回に文服してりようする。 

薬草 薬用植物 ハトムギ



薬草 薬用植物 ハトムギ

分類 イネ目 イネ科 ジュズダマ属 ジュズダマ 変種 ハトムギ

和名 ハトムギ
英名 Job's tears; Adlay

ハトムギ(鳩麦、Coix lacryma-jobi var. ma-yuen)はイネ科ジュズダマ属の穀物。
ジュズダマとは同種で、栽培用の変種である。
ハトムギ粒のデンプンは糯性であり、ジュズダマは粳性である。
中国南部からインドシナ半島にかけての原産とされる。植物分類ではトウモロコシに近い。
生育期間は160日前後で、そのうち登熟に30日程度必要。花期は8~10月、9月~10月に果実を
採取し、果皮と種皮を取り除き日干しする。

日本での栽培
日本への伝播には諸説あり、奈良時代とも江戸時代とも言われている。
享保年間には薬用として栽培されていた。
牧野富太郎によると、日本へは中国から伝播したとされるが、形態的、生態的に朝鮮半島原産

に類似しており、DNA分析によっても日本と韓国在来品種の違いはほとんどなく、
朝鮮半島を経由して伝播したと考えられる。
C4植物であるが、耐湿性があり、1981年水田利用再編対策の特定作物として認められた事を
きっかけとして、水田転作作物として栽培されている。
安定的な品質と収量を確保するためには、圃場の水はけが悪かったり、潅水できないため土が

乾燥する条件は適さない。10a当たり収量は200Kg~300Kg。


利用
漢方や民間療法では、皮を剥いた種子を?苡仁(よくいにん)と呼んで薬用に用いられ、
いぼ取りの効果、利尿作用、抗腫瘍作用などがあるとされる。
漢方では?苡仁湯などに使われる。また、ハトムギ茶やシリアル食品などにも利用される。
ハトムギエキスは皮膚に塗布すると、保湿作用、美白作用があることが知られており、
基礎化粧品に配合されることも多い。

5日ほど日干しした、果実を鍋で炒ったものを、30分~40分煮出ししてのむ。
滋養強壮によい。

注意点
妊娠中は、禁忌とされる。
ハトムギを含む飲料、食品の摂取は避けるのが望ましい。

2012年8月22日水曜日

薬草 薬用植物 ハッカ



薬草 薬用植物 ニホンハッカ

分類 シソ目 シソ科 ハッカ属 ヨウシュハッカ 変種ニホンハッカ

和名 ニホンハッカ
英名 Japanese peppermint


ニホンハッカ(日本薄荷、学名:Mentha arvensis var. piperascens )は、
日本在来のシソ科ハッカ属の多年草。

国外では通称、和種薄荷(ワシュハッカ、Japanesepeppermint)と呼ばれている。
単に薄荷ということもある。ハーブの一種。

利用
食欲不振、胃のもたれに、乾燥葉を刻み熱湯を注いで飲む。
虫さされには、生葉をもんですり込む。

植物学上では、ヨウシュハッカ(M. arvensis)の変種扱い。
ヨウシュハッカは北半球に広く分布し、日本にも帰化している。
ニホンハッカは、ヨウシュハッカよりやや葉が長く、萼筒の裂片が鋭く尖っていることから
区別される。
水蒸気蒸留によって薄荷油を抽出し、さらにこれを冷却して再結晶させハッカ脳と呼ばれる
複合結晶(主成分はl-メントール)を得る原料に用いられる。
これらは食品用、生活用品、タバコなどの香料として、
また医薬品用(ハッカ油・ハッカ脳とも薬局方に収載されている医薬品である)としても
用いられている。食品分野では、昔ながらの菓子、飴などの香料としての用途が代表的で
ある。
近年は化学工業的に合成されたメントールにシェアを奪われ、生産が減少している。
清涼感がするのは爽快な香りや、多く含まれているメントールの性質
(体中にある冷たさを感じる受容体を刺激したり、常温で昇華するため気化熱を奪ったり
する)によるもの。

薬草 薬用植物 ノイバラ



薬草 薬用植物 ノイバラ


分類 バラ目 バラ科 バラ亜科 バラ属 ノイバラ
和名 ノイバラ(野茨)

ノイバラ(野茨、学名:Rosa multiflora)は、バラ科の落葉性のつる性低木。
日本のノバラの代表的な種。沖縄以外の日本各地の山野に多く自生する。
ノバラ(野薔薇)ともいう。




特徴
高さは2mぐらいになる。葉は奇数羽状複葉で、小葉数は7-9、長さは10cmほど。
小葉は楕円形、細かい鋸歯があり、表面に艶がない。
花期は5~6月。枝の端に白色または淡紅色の花を散房状につける。
個々の花は白く丸い花びらが5弁あり、径2cm程度。雄しべは黄色、香りがある。
秋に果実が赤く熟す。
同属でやはり身近に出現するもの-にテリハノイバラ (Rosa luciae) があり、こちらは葉の表面にクチクラ層が発達しているため、艶がある。また花は一回り大きく、数が少ない。
道端にも多く出現し、棘が多いので雑草としてはいやがられる。
刈り入れられても根本から萌芽し、根絶は難しい。

分布と生育環境
北海道から九州までと、朝鮮半島に分布する。
野原や草原、道端などに生え、森林に出ることはあまり見ない。
河川敷など攪乱の多い場所によく生え、刈り込まれてもよく萌芽する、雑草的な性格が強い。

利用
果実は営実(エイジツ)と称し寫下薬、利尿薬になり、日本薬局方にも記載されている。
また、バラの園芸品種に房咲き性をもたらした原種であり、日本では接ぎ木の台木に
使用される。
そのため、しばしば栽培中に根本からノイバラが萌芽し、繁茂してしまうことがある。
果実は秋に赤く熟す

2012年8月21日火曜日

薬草 薬用植物 ネズミモチ



薬草 薬用植物 ネズミモチ

分類 ゴマノハグサ目 モクセイ科 イボタノキ属 ネズミモチ

和名 ネズミモチ

ネズミモチ(鼠黐、Ligustrum japonicum)はモクセイ科イボタノキ属の樹木。
和名は、果実がネズミの糞に、葉がモチノキに似ていることから付いた。
暖地に自生するとともに、公園などに植えられている。

特徴

高さ数mになる大型の低木。よく横枝を出して、塊状の樹形になる。
茎は灰褐色をしており、その表面に多数の粒状の皮目が出るのが特徴。
葉ははっきりと対生し、長さ4-8cm、楕円形から広卵状楕円形、厚手でのっぺりとしており、
表面にはつやがある。
葉柄は長さ5-12mm、紫色を帯びることが多い。
花は6月頃に咲く。花序は円錐形で、枝先に出て長さ5-12cm、多数の花をつける。
花は経5-6mm、花冠は白で、中程まで四つに割れ、それぞれが反り返る。
雄しべはこの花冠の裂け目の内の対面する二つのところから出て、花冠の裂片くらいの長さが

まっすぐに突き出る。花序が多数出るため、木全体に真っ白の花の塊が散らばったように
なり、遠目にもよく目立つ。また、ハナムグリなどもよく集まる。
果実は長さ8-10mmの棒状に近い楕円形で、はじめ緑、後に表面に粉を吹いて黒く熟する。

生薬
果実を日干しにしたものが、生薬の女貞子(にょていし)です。
病後の衰弱回復や、虚弱体質の改善に
10gを600ccの水で半量に煎じ、食間3回に分服すると良い。


生育環境
低地や低山の日向に生える。
照葉樹林における代表的な陽樹であり、森林内の開けたところや山火事のあとなどに
多数見られる。

分布
日本では本州・四国・九州・琉球列島に広く見られ、国外では台湾と中国から知られる。

利用
街路樹や生け垣として利用される。
フクロモチ var. rotundifolium は葉が丸くなり、枝が詰まって生じるもので園芸品である。

ただし近年は後述のトウネズミモチもよく使われる。

分類
日本では同属にイボタノキなどがあり、似たような場所に生えるものもあるが、
ほとんどは落葉性であり、この種のような厚ぼったい葉を持つものではないため、区別は
簡単である。
ただし、中国原産のトウネズミモチは非常によく似ているうえ、あちこちで栽培されることが

多いため、混乱を生じている。葉を裏から日にかざして見ると、
本種は葉脈が透けて見えない(トウネズミモチは葉脈が透けて見える)。
また、本種の果実は楕円形である(トウネズミモチの果実は球形に近い)。
しかし、特に葉だけでの区別は困難で、またトウネズミモチが野外に出る様子もあるため、
やっかいなことがある。

薬草 薬用植物 南天



薬草 薬用植物 ナンテン

分類 キンポウゲ目 メギ科 ナンテン亜科 ナンテン属 ナンテン

和名 ナンテン(南天)
英名 heavenly bamboo
ナンテン(南天、学名:Nandina domestica)は、メギ科ナンテン属の常緑低木。
和名の由来は、漢名の「南天燭」の略。

高さは2m位、高いもので4~5mほど。幹の先端にだけ葉が集まって付く独特の姿をしている。
葉は互生し、三回羽状複葉で、小葉は広披針形で先端が少し突きだし、革質で深い緑色、
ややつやがある。
先端の葉の間から、花序を上に伸ばし、初夏に白い花が咲き、晩秋から初冬にかけて赤色
(まれに白色)の小球形の果実をつける。

分布・生育地
中国原産。日本では西日本、四国、九州に自生しているが、古くに渡来した栽培種が野生化
したものだとされている。
山口県萩市川上の「川上のユズおよびナンテン自生地」は、国の天然記念物(1941年指定)。

利用
薬用など
葉は、南天葉(なんてんよう)という生薬で、健胃、解熱、鎮咳などの作用がある。
葉に含まれるシアン化水素は猛毒であるが、含有量はわずかであるために危険性は殆どなく、

逆に食品の防腐に役立つ。このため、彩りも兼ねて弁当などに入れる。もっとも、
これは薬用でなく、食あたりの「難を転ずる」というまじないの意味との説もある。

南天実に含まれる成分としては、
アルカロイドであるイソコリジン、
ドメスチン(domesticine)、
プロトピン(英語版)、
ナンテニン(nantenine:o-thyldomesticine)、
ナンジニン(nandinine)、
メチルドメスチン、
配糖体のナンジノシド(nandinoside)などの他、
リノリン酸、
オレイン酸が知られている。

鎮咳作用をもつドメスチンは、多量に摂取すると知覚や運動神経の麻痺を引き起こすため、
素人が安易に試すのは危険である。
また、近年の研究でナンテニンに気管平滑筋を弛緩させる作用があることが分かった。
また、ナンジノシドは抗アレルギー作用を持ち、これを元にして人工的に合成された
トラニラストが抗アレルギー薬及びケロイドの治療薬として実用化されている。

毒成分 ナンテニン、ナンジニン、 メチルドメスチシン、
    プロトピン、イソコリジン、ドメスチシン、
    リノリン酸、オレイン酸

毒部位 全株、葉、樹皮、実、新芽

毒症状 痙攣、神経麻痺、呼吸麻痺